軸がぶれちゃいけないかをキャリアで考える

ちょっとブログをみていて気になったので、コメントついでに。

軸がぶれないって危険なことかもね - ひがやすを blog
http://d.hatena.ne.jp/higayasuo/20080625/1214369234

私は、XPのYAGNI(You Aren't Going to Need It)の考え方が好きです。「今必要のあることだけをやれ」っていう考えが。

「人は未来のことはわからないんだから、できる限りの予想をして未来に備えよう」ってのと真逆な考えで、「人は未来のことはわからないんだから、予想するのはやめちゃって、今必要最小限のことだけをしよう」ってことです。

そして、「現実にあわせて素早く舵を切る」のです。

私は、XPにふれて以来、ずっとこの考えに従っています。

* 先のことは予想しない。
* 現実にあわせて素早く舵を切る。

こう考えると、リラックスして行動できるよ。そして、現実に適合しているから失敗しにくい。

一般的に軸というと意志(will)に当たると思います。これはマッキンゼーの中興の祖、マービンバウワーの著書などでも最も大事な物は意志であるとでているように最も大事なことでしょう。何を変化させて、何を強く持たなければいけないかについて今回は書いてみたいと思います。これをキャリアにフォーカスを当ててみていきたいと思います。

まずは、予測できない将来なのだからどうしたらよいかという視点で見ていきます。
強者の論理的なことで、できる限りの予測をして備えようという言葉「備えよ常に」がありますが、
ここら辺で世界的に一番影響を与えている人としてジャックウェルチからみてみたいと思います。

ジャック・ウェルチのかたわらで働いていた私のオフィスの人生の半分は、残りのオフィス人生の準備に当てられていた。私のビジネス活動の大半は「準備」で締められていた。海面下の氷山のように、表面で起こる日々の出来事の裏側で準備が行われていたのだ。


ジャック・ウェルチに学んだ仕事の流儀」ロザンヌ・バドゥスキー+ロジャー・ギティンズ

この本の中で、成功の6割は準備にありと言うことがでています。しかし、ここら辺に関して言うならば、あくまで短期のことであって、長期的なことはでていません。軸という意味とはこれはかけ離れているような気がします。

次のようにウェルチは著書で書いています。

どんなにちゃんと筋書きがあるように見えても、キャリアは何らかの純粋な運で決まる


「ウイニング 勝利の経営」ジャック・ウエルチ

ことキャリアに関して、そのほかの中長期的な物に関して言えば、運に寄ってしまうところが大きい。
ではそのような運という物はどうやって捕らえることができるだろうか。という話になります。

キャリア論には二つの主流があり、一つは節目がくるまでドリフトして計画していこうとする、つまり日々着実にやっていこうというトランジション論と、運を引き寄せていく努力をしていこうというプランドハップンスタンス理論があります。双方を融合しながら行くべきという流れになってきている中、プランドハップンスタンスのようにラッキーをつかむにはどうしたらいいかという話が出ています。
ある意味の常に備えていくという意味でもあり、かつ予測不可能な状態にすべきことのもう一つの道だろうなと思っています。

ラッキーは、ことわざでも「幸福の女神は後ろ髪がない」といわれているようにいつの間にかラッキーが過ぎ去っている。それに気づいていない。(計測もできないが)ともいわれているが、見えない分訳がわからないものです。

とはいえ、これはつかむことができる。すくなくとも、その可能性を高めることができるとしています。これに関しては、著書もいくつか出ていますが、次のような能力が必要であるとクランボルツスタンフォード大学教授はいいます。

一つ目は、好奇心。自分の好奇心に従い、広げていく。それを押しとどめてはいけない。
二つ目は、持続。すぐにあきらめず、結果がでるまでやり尽くしてみる。
三つ目は、楽観。大半の悲観的なコメントよりも、たった一人の前向きなコメントを心に置いてみる。その一人がたとえ自分だけだったとしても、です。
四つめは、リスクテイキング。失敗はするもの。今持っている何かを失うよりも、新しく得られる何かにかけてみる。
そして五つ目は柔軟。一度意思決定したことでも、環境や状況の変化に伴い、いくらでも変化すればいい。そのようにあなたの行動を変えなさいということです。


「ラッキーをつかみ取る技術」小杉俊哉

こうみると、今あることだけをやれという話はあるかもしれませんが、能力として十分かもしれませんが、それだけだと不十分だったりするわけです。行動として、それこそあたらしい人脈を作り込むこと−特に自分と違った価値観の人々−や、暗くしていないなど、行動の面ではいろいろやって行かなくてはいけないことがあります。(この点は著書などをごらんいただければと)

一方で、ただ単に動いていても、青い鳥症候群になるだけになります。
そのためにも、軸を作り込むこと、つまり、ミッションを設定するか、意志をもつか。
これが無くては、ただ単にやみくもに動いて疲弊するだけです。そのために軸はもってしっかり持っておかなくてはいけない。
その認識はどれくらいできているか。そうでなければ、好奇心も持続も、そのほかも続いていかないまま終わってしまう。
ある意味何でも手を出そうというのと逆に捕らえるかもしれないけれども、軸をもてば好奇心もよりくっきりと鮮やかに見えるのではないでしょうか。

最終的に私が何が言いたいかというと、軸はちゃんと持っていて、ぶれちゃいけない−つまりは意志・認識を持って、意志決定をおここなうこと−。そして、軸は柔軟に変化していかなければいけない−意志と意思の変化−というのが自分の意見です。